東京地方裁判所 平成3年(特わ)1746号 判決 1992年2月06日
本籍
東京都足立区青井五丁目二〇二〇番地
住居
同区西加平二丁目四番二一号
不動産業
山口吉之
昭和一〇年一一月二一日生
右の者に対する所得税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官古賀正二出席の上審理し、次のとおり判決する。
主文
被告人を懲役一年二月及び罰金三二〇〇万円に処する。
右罰金を完納することがでないときは、金二〇万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。
この裁判確定の日から三年間右懲役刑の執行を猶予する。
理由
(罪となるべき事実)
被告人は、東京都足立区西加平二丁目四番二一号に居住し、同所で不動産業を営んでいた者であるが、自己の所得税を免れようと企て、自己が取り扱った不動産取引に関し、仕入価格を水増計上するとともに、架空の支払手数料及び紹介料を計上するなどの方法により所得を秘匿した上、昭和六一年分の実際総所得金額が四二万二八〇〇円、分離課税による土地等の事業所得金額が二億五三二九万五七五七円であった(別紙1修正損益計算書参照)のにかかわらず、同六二年三月一六日、同区千住旭町四番二一号所轄足立税務署において、同税務署長に対し、同六一年分の分離課税による土地等の事業所得金額が七一七七万四九〇八円で、これに対する所得税額が四一七八万六八〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書(平成三年押第一〇三八号の1)を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって、不正の行為により、昭和六一年分の正規の所得税額一億八一二八万九五〇〇円と右申告税額との差額一億三九五〇万二七〇〇円(別紙2ほ脱税額計算書参照)を免れたものである。
(証拠の標目)
一 第一回公判調書中の被告人の供述部分
一 被告人の当公判廷における供述
一 被告人の検察官に対する各供述調書(二通)
一 青木勝、機村好一、八木下秀吉、島成美、樋口宏次の検察官に対する各供述調書
一 田中征昭の収税官吏に対する質問てん末書
一 収税官吏作成の次の各調査書
1 収入金額調査書
2 売上原価調査書
3 手数料・紹介料調査書
4 立退料調査書
5 租税公課調査書
6 減価償却費調査書
7 地代家賃調査書
8 損害保険料調査書
9 修繕費調査書
10 水道光熱費調査書
11 車両費調査書
12 消耗品費調査書
13 支払手数料調査書
14 旅費交通費調査書
15 通信費調査書
16 諸会費調査書
17 接待交際費調査書
18 雑費調査書
19 利子割引料調査書
20 報酬料金調査書
21 違約金調査書
22 利子収入調査書
23 給付補てん金調査書
24 源泉徴収税額調査書
一 収税官吏作成の証拠品提出書
一 押収してある昭和六一年分の所得税確定申告書等一袋(平成三年押第一〇三八号の1)、収支内訳書(同押号の2)
(法令の適用)
罰条 所得税法二三八条一項、二項
刑種の選択 懲役刑と罰金刑の併科
労役場留置 罰金刑につき刑法一八条
執行猶予 懲役刑につき刑法二五条一項
よって、主文のとおり判決する。
(裁判官 西田眞基)
別紙2
ほ脱税計算書
<省略>
別紙1
修正損益計算書
<省略>